ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ 紀友則
花の色はうつりけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに 小野小町
日差しは少し春に近づいた感のあるアップステートニューヨークですが、まだまだ寒い毎日。ワシントンDCでは春の花が咲き始めていました。今月20日からワシントンDCは恒例の桜祭りですが、既に所々桜が咲き、花弁が散っている木さえある事に驚きました。
記憶とは不思議なもので、英語の詩を読んでも何かの拍子に浮かんでくる詩は皆無に等しいのですが、百人一首で覚えた歌は記憶の奥底に眠っているのか、美しい桜をみた際、かるたとりの名人で百首すべてを覚えていた祖母の手さばきとともに浮かんでくるのです。
いにしえびとが歌った無常観等。時に不合理な人生に対する繊細な感覚は豊かな四季のうつろいと、天災が多い日本の長い歴史の神髄かしら?日々健康で生活できる事への感謝と大切さを思った、穏やかな春の日。